ぼんやりとした手触り

日記のようなもの

2017/09/09  ルール、善行、常識とやら

  夜明け前に、家を出た。バイトに行くためだ。休日は電車の本数が少ないから、いつもより早く行動しないといけない。眠たい。

 近所のアパートのごみ集積所に、透明な袋がぽつんと置いてあった。今日はごみ回収日じゃないのにと不思議に思って近づいてみると、ピーマンの切れ端や納豆のパックがみえた。袋の底に、茶色く濁った水が溜まっている。どうやら可燃ごみらしい。可燃ごみの回収日は、昨日だ。市が指定した袋じゃないから、回収されなかったのだろう。ひび割れたコンクリートの壁にもたれかかるように捨てられたごみ袋は、猫の鳴き声すらしない朝の静寂の中に、沈んでいった。

 休日の朝の電車は、人が少ない。向かいに座った三人の女性が、大声でおしゃべりしていた。誰かの不倫を、糾弾していた。右端の女性の口角から唾が飛ぶ。私の足元に落ちたそれは、シュワシュワと、しつこく床にこびりついていた。そうか、そうか……。

 

 誰一人煙草を吸わない街で肺を病む、そんな夢を見た。気が付いたら、目的地に着いていた。仕事の同僚が、最近は変なクレーマーが多いと愚痴をこぼしていたのを、ふと思い出す。同僚にとっては変な理屈も、クレーマーにとっては普通のことなんだろう。今日はどんな「変」な人がいらっしゃるのかなと、少し勢いよく、プラットホームに飛び降りた。